PCIeを利用してNVMeのSSDを使っているMacProユーザーの方は多いですよね(もしくは購入を考えているみなさんも)。SSDはx4、x2のどちらを使っていますか?
なにそれ?という方はつづきを読んでください。
少し複雑なグラフですが説明をしていきます。PCIeは規格としてのバージョンである1.0、2.0、3.0、4.0(まもなく発売予定)と数字が上がるごとに基本的な転送の速度が倍になっています。
上のグラフをよく見てもらえばと思いますが、PCIeの規格の速度を最大値としてその何倍で通信をできるかというのがx2、x4の持つ意味です。
PCIe2.0を例に取るとPCIe2.0 x 1は4.0Gbps = 500MB/s、PCIe2.0 x 2は8.0Gbps = 1,000MB/s、PCIe2.0 x 4は16.0Gbps = 2,000MB/sが最大の通信できる限界値になります(ロスが発生するのでPCIeはその85%程度がMAXといわれています)。
x 2対応のSSDはPCIe2.0規格だと1,000MB/s(850MB/s)が利用できる速度の限界になります。同じSSDでもPCIe 3.0で利用すると PCIe3.0 x 2 =2,000MB/s(1,700MB/s)。
広告や説明に「速度最大1700MB/s」とか「速度最大3400MB/s」とか書いてあります。それは現在の主流であるPCIe3.0規格内での最大の数値を目指して商品が開発され販売られているからです(必ずどこかにx 2、x 4の仕様は明記してあります)。
いくら速い最大速度を見てもMacPro 5.1ユーザーはその恩恵にあずかれません。
MacPro 5.1(2009〜2012)はPCIe2.0となりますので今の主流であるPCIe3.0の半分の速度でしか通信ができません。本来であれば(x4接続で)3,400MB/sの速度がでるNVMeでも1,700MB/sの速度限界に阻まれ、それ以上のスピードでは利用できません。
WD BLUE WDS500G1B0C(MAX Read 1,700MB/s)が約9,000円。WD BLACK WDS500G2X0C(MAX Read 3,400MB/s)が16,000円ぐらいの価格帯です。
WD BLACKほぼ倍の値段であるにも関わらず、Thunderbolt3でPCIeに接続したWD BLUEと比較するとほぼ同じスピードしか出ません(上グラフ)。
かといってWD BLUEをMacProで使用するとそのさらに半分の速度しか出ません(上グラフ)。
比較に用いたWDの2つの商品はこの規格のSSDでも高性能で比較的値段高い商品です。
例えばCrucialのPCIe3.0 x 4(CT500P1SSD8JP)は7,517円でRead 1,900 MB/s Write 950MB/sという速度が速い部類には入らない商品はどうでしょう?
基本性能が倍近く違う「WD BLACK VS CT500P(3,400MB/s VS 1,900 MB/s)」でテストをしてみました。勝負になるはずもないのですが、MacPro 5.1で使った場合は違います。
下の表がそのテストの結果です。MAXの読み込みスピードはWD BLACKとほぼ変わらない数字がでました(書き込みは差が出ました)。
MacPro用にNVMeのSSDを購入するときには、あまり高性能なスペックを見るよりも「x 4」であること。2,000MB/sまでのRead/Write程度の性能。価格が安い商品。を購入することが良いのかもしれませんね。
(2019年6月26日修正・加筆)