前回の記事の反響が大きく、少し内容が難しすぎる(マニアック)過ぎる等の声を沢山いただきました。今回は改めて、初めてAVアンプを導入してデスク周りの環境を改善してみたいというユーザーに向けてサラウンドとはなんぞやというところから解説をしていきたいと思います。
デスク周りのサラウンド化(デスクトップサラウンド)について
その前にこの所はよく理解してもらいたいのですが。広い空間で大音量でサラウンド再生できる環境にはとてもじゃないですが勝てません。私はリビングで5.1chのサラウンドシステムを構築しています(Apple TV 4Kとブルーレイプレイヤーを主に利用し、トールボーイスピーカーを使用してサラウンド構成をしています)。Netflixやアマゾンプライムビデオ、ブルーレイディスクのサラウンド音源を大音量で再生すると本当に映画館感覚で視聴することが可能です。ただ、デスク周りだと空間が少ないこともあり、大きな空間でのサラウンド再生と比べると音の広がりや音圧等が同じというわけにはいきません。
「デスクトップサラウンド」でも必要にして十分なサラウンド体験をでますのでご安心ください。
ここで紹介するのはデスク周りのサラウンド化です。Mac主体で記事を書いていますがWindows PCを使っているユーザーも同じ事がいえると思いますのでご参照いただければと思います。
自分の部屋でPCのモニタ中心で生活をされている方、一人で部屋を占有できる環境の方でPCのの周りで過ごす時間が多い方等には特におすすめです。
デスクトップサラウンドは距離が短いので配線が楽です。リビングのサラウンドスピーカーの配線、配置なんて思い出すのもいやなぐらい大変です。
なぜこの今の時期にサラウンドなのか?
それはAppleが「Special Audio(空間オーディオ)」を発表し、「Apple TV app」で(有償のApple TV+)コンテンツを見たり映画をレンタルできるようになったからです。
「Special Audio(空間オーディオ)」の登場により、iPhoneやiPad、iMac(Apple Silicon)、MacBook Pro (2018 年モデル以降)、MacBook Air (2018 年モデル以降)等で外部機器を利用することなく、搭載のスピーカーそのままでサービスが利用が可能になりました。
下記のイヤホン等でもサラウンド(ドルビーアトモス)を楽しむことができます。
- AirPods、AirPods Pro、AirPods Max
- BeatsX、Beats Solo3 Wireless、Beats Studio3、Powerbeats3 Wireless、Beats Flex、Powerbeats Pro、Beats Solo Pro、Beats Studio Buds
その広がりのおかげでMacとAVアンプの組み合わせでもサラウンドを楽しめる環境が広がったのです。
あたりまえのことですが、MacBook Proの純正スピーカーとAVアンプ経由の「空間オーディオ」はまったく比較にならないレベルでAVアンプを利用する方が音質も空間性も高いです。
今後はいろいろなもののサラウンド化が加速し、Macでも楽しめるコンテンツが増えていくのではないかと期待しています。
前置きが長くなりましたが、サラウンドとはなんぞやということをステレオ再生から解説していきます。
まずデスクトップオーディオの基本は左右のスピーカーを購入して「ステレオ」環境をデスク周りを作成することです。
スピーカーだけでは音が鳴りませんので、音を鳴らすアンプをPCに接続します。
下の図は私の環境ですのでAVアンプを使用した参考例ですが、USB入力のあるプリメインアンプも利用可能です。その場合はUSBでアンプと接続します。
※スピーカーにアンプを内蔵したモデルもありますが、今度サラウンド化をしてみたい!いろいろアップグレードを楽しみたいという方はAVアンプとスピーカーを購入することをお勧めします。
ただ、デスク周りには大型のスピーカーやトールボーイ型のスピーカーは配置できませんので、少し低音不足を感じ始めるかもしれません。
そこで登場するのがサブウーファーです(ステレオスピーカー+サブウーファー)という構成が2.1chです。
私はサラウンド化する以前はDenon PMA-50(現行機種だとDenon PMA-30)をUSB接続で2.1ch環境を楽しんでいました。小型のスピーカーの低音を補うのがサブウーファーの役割です。この組み合わせでも音楽を楽しむには十分でしょう。
プリメインアンプでなければ2.1chはだめですか?と言われますがでもAVアンプでも問題なく構築できます。デスクトップで満足して音楽を再生するには下記の図ような2.1chが最低構成だとは思います(サブウーファーの有る無しはデスク近くのオーディオ構築には大きな違いをもたらします)。
DenonのPMA-50から実売価格の安いDenonのサラウンド入門機のAVR-X550BTに変更しましたが音質の変化はほとんど感じませんでした。デスクトップ周りで大音量で聞いていても距離が近いのでアンプ的には大音量じゃないのでしょうね。そのあたりがアンプの性能の影響を受けにくい環境なのかもしれません(でも、何十万もするアンプを聞いたことがないので、本当は相当違うのかもしれません)。
「サラウンド再生」のすべての核となるのが5.1ch構成(ステレオスピーカー + サブウーファー + センタースピーカー + サラウンドスピーカー)
これまでと違うのはここからはサラウンドシステムへと移行しますのでプリメインアンプでは出力ができません。
ここからがAVアンプの真骨頂です!
下記のの図を見てもらえればわかると思いますが、こういう空間だと右前から左後ろに音が移動する等の立体的な音を再生することができます。音の移動が立体的になるので迫力は一気に倍増します。
センタースピーカーてなに?ってよく言われますが、主に映画のメインの台詞やボーカルを担当します。
Appleの「空間オーディオ」では音楽の種類によってボーカルにセンタースピーカーを積極的に使う音源とそうでない音源がいろいろあるようです。
私は運良くセンタースピーカーを配置できるレイアウトでしたが、デスクトップオーディオの場合、センタースピーカーを置く場所がないという方も多いと思います。そのような方にはセンタースピーカーを除いた「4.1ch」という構成も可能です。
7.1ch以上は参考程度に記しておきます。
デスク周りだと横にスピーカーを配置することはかなり難しいと思いますので参考程度に。上記の5.1chに真横を補強したのが7.1chとなります。より全体をカバーしたサラウンドを楽しむことができます。9.1chは横のスピーカーが左右2個づつという仕様ですが専用のオーディオルームでも作れなければそんな配置を日常生活に取り入れるのは難しいかと思います。
MacではNetflix、アマゾンプライム、U-NEXT等はブラウザでしか再生できないのでサラウンド再生ができません(2021年10月現在)がApple TVやファイヤスティック、Windows等は専用アプリからはサラウンド再生が可能です。
そこでも、多くのコンテンツは5.1ch対応がほとんどです。Netflixでは最も高いプラン(UHD 4Kでのストリーミング)でコンテンツによってはDolby Atmosが再生が可能です(コンテンツは少ない)。
下記はApple TV 4Kで表示した各サービスのサラウンド配信を表示したものです。
コンテンツが示しているように、5.1chで十分サラウンドを楽しめます。
私はDenonの超入門機のAVR-X550BTとハードオフで買い集めた中古のスピーカーでサラウンドを構成しています。
うまく買い集めれば、おそらく3〜4万もあれば「デスクトップサラウンド」環境は作れるのです。
私がなぜ「AVアンプとスピーカー」の組み合わせをこれほどおすすめするかと言うと、スピーカーやアンプにこだわって高性能・高音質を求めるより「サラウンド」環境を作る方が簡単に感動を得られます(もちろんよいAVアンプとスピーカーにこしたことはないですが)。
また、映画館の音響も同じ理屈(複数スピーカー)で配置再生されているんですよね(数と規模は全く違いますが)。
また、今後好みに応じてよりよいスピーカーを購入したり、より高性能のAVアンプに買い換えたりと簡単にバージョンアップができるのがオーディオの魅力でもあります。スピーカーなんて何十年前のものとも互換性があるというので使えるというのも魅力です。
ここからは私も踏み出そうかどうか悩んでる「Dolby Atmos(ドルビーアトモス)」が楽しめる5.1.2ch環境についてお話しします。
「Dolby Atmos(ドルビーアトモス)」の5.1.2ch環境。なんとも悪魔的な魅力のある言葉でしょう。
今までのスピーカーの構成に上下という概念が加わります。勝手なイメージですが上から雨や爆弾が落ちてくるのはやばそうです。
つまり、上から落ちてきたり上に向かって音が広がったりすることができるのが「Dolby Atmos(ドルビーアトモス)」を利用した5.1.2chです。
上記の写真は「Dolby Atmos(ドルビーアトモス)」に対応したDenon AVR-X2700Hの背面写真です。
上面に2つスピーカーが追加されるのでスピーカのの接続端子が7個(+サブウーファー端子)になります(5.1.2chでだけでなく、7.1chのサラウンド構成としても利用可能)。
デスク周りでどうやって上部にスピーカーをおいてやるかが懸念事項ではありますが、近未来的にチャレンジしてみたいとは思っています。
AVアンプとMacが接続され、音を鳴らしてみましたか?でも、楽しむ前にやらなければならない設定があります。
怪しげなバナーですが、ほかのページとも流用する為に別ページを作成しました。よく読んで設定を完了してください。これが終わればついにサラウンドを満喫タイムスタートできます!!
AVアンプとMacの準備ができましたか?とりあえずサラウンドを楽しんでみる事ができる方法を伝授します。
まずはきちんとサラウンド環境になっているかどうかをチェックしてみましょう。
Dolby(このリンクをクリック)さんからドルビーテストトーンとドルビーアトモスのトレーラが配布されています。
Macのページもあるようですが(私はうまくいきませんでした)、さらっと直リンクのあるWindows用から「5.1.2」とトレーラーをダウンロードしましょう(クリックすると再生されますので、そうではなく右クリックで「リンク先をを別名で保存」でダウンロード)。
ダウンロードしたファイルを「QuickTime」で再生します。
ここで最も重要なのがきちんとサラウンド化されていれば、各スピーカーから同時に音が出ることはありません。例えばセンタースピーカー再生時に左右や後ろのスピーカーから少しでも音が出ているようであれば、サラウンド化は何かしらの問題が生じています。
多くの場合は配線の間違いや、擬似的なサラウンド再生のモードになっていることが多いです。再度「Audio MIDI設定」できちんと正しい位置でスピーカーが設定されているかも確認してみましょう。
きちんとそれぞれのパートでそれぞれのスピーカーから音が鳴った方々おめでとうございます!Macでサラウンド体験の開始です。
「LEAFトレーラー」「AMAZEトレーラー」も続けて再生して見ましょう。感動的なサラウンドで音が鳴っていませんか?さすが本家が作った動画だけに初めて再生したときは鳥肌ものでした。
せっかくなんでもっとサラウンドを体感してみたい!
そうなりますよね。私もそうなりました。現在私の知る限りでMacでサラウンドを楽しむ方法として
- 上記のDolbyファイルのようにサラウンド音源を持っている映像ファイルを再生する(VLCやIINAでの再生がおすすめ)
- Apple Music Appで空間オーディオを再生(お試し期間が過ぎている方は、サブスクで契約が必要)
- Apple TV appを利用して有償のApple TV+サービスを利用するか、ビデオをそこからレンタルする。
なんですよね。ここまで盛り上げておいてなんですが、Apple以外ののサービスでサラウンドを楽しむ方法はほぼないんですよ。
でも、ちょっとした裏技を紹介します。
「Apple TV app」の映画をクリックして「予告編」を再生するのです!本編で対応していても予告編ではサラウンド対応できていないコンテンツもあるので、いろいろ試してみてください。
- 007「スペクター」
- 007「慰めの報酬」
- 007「カジノロワイヤル」(未対応)
- 007「スカイフォール」(未対応)
上記のように同じ007シリーズでも予告編でサラウンド未対応のものが2つもありました。
「AC3パススルーを優先」すると下記のようにアンプ側に「Dolby」表示が!!(通常表示は「Murti Ch in」)。
Youtubeにもサラウンドテスト的な音源がありますが、こちらはブラウザの再生ではサラウンド音源を再生できませんのでサラウンドを試すことはできません。
格安のブルーレイプレイヤーなんか買い足すというのもありですね。お気軽にサラウンドを楽しめますね。
PCのモニターでサラウンドBlu-ray、DVDを鑑賞というのもありですね。Macの場合はUSB外付けのプレイヤーを買うよりも下記のような専用再生機を買う方がAVアンプの恩恵を受けられると思います(さみしい話ですが、、、)。
あ〜。ブルーレイレコーダー買うとテレビもみれるのか〜。オーディオ系を始めると物欲がとまりませんね。
かなり駆け足でしたが、デスク(机)まわりでサラウンド環境を構築するにはどうすればよいかをわかりやすく説明しました。まだまだ、Macで思いっきりサラウンドを楽しめる環境ではありませんが、Netflix、Amazon Prime Video、U-NEXT等がアプリで登場してくれる日が来れば一気に環境が変わると思います。
あと、Abemaさんはよい映画を配信しているのでApple TVのアプリでもサラウンド対応を期待しています(もちろんMacでも!!)。