10月の末ごろから、「OSをCatalinaにアップデートしても大丈夫なん?」という問い合わせが多いです。その時には「もう少ししたらAdobe CCが2020バージョンにアップデートされるからそれが出たら大丈夫かな〜。」と答えていましたが、先日、ついにAdobe CCの2020バージョンが公開されました。
私自身、11月5日以降はCatalina環境で仕事ができるように、フォントやプラグインの移行作業をしてその後はCatalinaのみで仕事をしています。
多くの現場の方の生命線であるAdobeのソフトの2020バージョンの使用感を私見でレビューしてみます。
Adobe Photoshop 2020
Adobe Photoshop 2020はついに角丸アプリになりました。私の中では角丸になったAdobeのAppは次世代にバージョンアップしてるものと勝手に認識をしています。
細かいバグ等はあるのかもしれませんが、10月の末にもCatalina関連のバクフィックスをした2019バージョンも発表されましたし、今のところは使用は問題ないようです。前バージョンよりも動作が軽いです。
新機能が多く追加され、「新しいオブジェクト選択ツール」、「機能強化されたワープの変形」等は我々デザインの世界にも便利さをもたらしてくれる機能だと思います。
Adobe Illustrator 2020
Adobe Illustrator 2020は残念ながら次世代バージョンというわけではないようです。iPad用のバージョンも2020年には公開されるようですので、その辺りのタイミングでこちらも次世代バージョンに変わってくるのではと期待しています。
2020版は起動時間は早くなっていますし、動作が軽いなと思うところも増えています。新機能も追加されています。
最近はイラストレータ上でぼかしを利用することが多くなっていますので、ぼかしのレンダリング時間の向上は嬉しいですね。細かいバグ等はあるのかもしれませんが、実際の使用感としては今のところは問題はないようです。
GPUパフォーマンスのGPUの使用率はアクティビティモニタで見るかぎり、2019より使用率が少なくなっているように思えます。これはGPUに対する適合性が上がっているのか、GPUを効率よく使えていないためなのかという点に関してはどちらなのかはわかりません。
文字情報が多いチラシデータ等のスクロールではスクロール待ち(リアルタイムよりもスクロールがワンテンポ遅れる)ようなこともありますので、これは今後の改善に期待をします。
eGPU(Radeon VII)と内臓の(Vega 20)とを比較しましたが、eGPUによって性能が上がるという事はこのバージョンでは無いようです。
Adobe After Effects 2020
Adobe After Effects 2020ですが、こちらもイラレ同様のバグフィックス版といった感じです。
新機能が追加されていますが、Mac版においてメリットの恩恵がないものもあるようです
その理由はWindowsで動画編集をしている方々はCUDAが利用できるNVIDIA製のGPUを多く使っていて、その対応開発を進めるとAMDのGPUが主体のMacユーザーは置いていかれてしまうことになります。これはAMDのGPUの性能の問題ではなく、AdobeがMacOSのMetalに対応を積極的にやっていないということが問題のひとつかもしれません。
新機能の中「プレビューと再生のパフォーマンスの向上」には「必要に応じて、レイヤーのトランスフォームとブレンドを行うと、CPU ではなく GPU が使用されるようになり、レンダリングのパフォーマンスが向上します。」とありますが、私はMacOSではその実感をあまり感じる事はできませんでした。
仕事で使用している実際のプロジェクトファイルを数種類レンダリングしましたが、「Mojave + AE 2019」と「Catalina + AE2020」を比較するとレンダリング時間が2020の方が遅いという結果でした(数分の動画で数十秒の差)。
最も期待していたeGPU(Radeon VII)の恩恵は感じることができず、またしても内臓のVega20でレンダリングをした方が早いという結果で、このバージョンのAEではeGPUを積極的に活用できる仕様にはなっていないようです。
ただ、アプリケーション使用時の動作の軽さと起動時間の速さ(今までは本当に遅かった)は感じることができましたので、Catalinaに移行しても良いのではないでしょうか。
Adobe Premiere Proはこのレビューを書くまでに仕事で使う機会がありませんでした。新機能はこちら。軽く触った感じでは、AE同様に動きが軽くなっているという印象でした。
今後の期待と予想
先にも書きましたが、iPad版にフル供給されたアプリが「角丸になったアプリ」ということになるのでしょう。
Illustratorも2020年度にはiPad版がリリースされるようです。iPadはMetal対応ですので、iPad版が発売されるとMacOS版のAdobe商品も大幅にアップデートされるというのが今後の時流になるようです。
古いソフトで32ビット版をどうしても必要で日常的に使うという方でなければ、デザインの現場においてもCtalina移行をしても問題ないと思われます。
不安な方でSSD(HDD)容量に余裕のある方は過去の記事「Catalina(mac OS 10.15)をクリーンインストールしたい。とりあえず今の環境のままでCatalinaを試してみたい。その方法とは。」に書いてあるやり方でCatalina環境を作成して、必要に応じてMojaveを起動するという方法も良いかもしれません。