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デザイン事務所のMac環境でRAID機器は必要か。

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格安のハードウェアRAID「ORICO 3.5インチ ハードディスクケース(9558RU3-BK)」を導入した経緯

長年連れ添ってきた「STARDOM SOHORAID SR4(過去記事)」がファンのエラーでビープ音が鳴り響くようになってしまったために、新たにRAIDを組み直すことにしました。2012年ぐらいから使用していたので、約8年間使えたました下写真)。

なかなか、Mac OSですんなり動いてくれる周辺機器も少ないので、うまく動くかどうかわかりませんでしたが17,999円(アマゾン)だったのでそのあたりは人柱的に。

修理も考えましたが価格が安かったのもあり、買い換える事になりました。長い間ありがとう!

RAID 5で運用していて過去にはハードディスクの故障を乗り越えた経験があるのと、現在利用していたHDDをそのまま運用できるという意味において出費がすくなてすむのでORICOのRAIDを購入することにしました。

ORICOは過去にUSBのケースで利用した経験があり、新興の中国メーカーではありますが、信頼感を持って購入しました。現在のいろいろなPC関連の機器は搭載されているチップの性能によってのみ左右される傾向が強いです。もちろん、配線やクオリティーによるトラブルもありますが、同じような構成の商品であればメーカーによる差はデザインとか電源容量とかの違いが商品の違いのような場面が増えてきました。

さて、今回購入したORICO 3.5インチ ハードディスクケース(9558RU3-BK)ですが、今まで使っていたものとの大きな違いはHDDのベイが5つあるので容量が増やせることです。今までは3T HDD x 4台で12TB(RAID 5運用で9TBの容量)ORICO RAIDは3T HDD x 5台で15TB (RAID 5運用で12TBの容量)となります。

RAID 5は今回であれば5台のHDDに分散してデータを書き込みどれか1台のHDDが故障をしても同様量のHDDを故障したHDDと差し替えるだけで自動で復旧をしてくれるというものです。

見た目はなんかかっこい!TOPにあげた写真のような感じで他の周辺機器とのマッチングも最高です。

とりあえず、HDDを新しい機器に移動していきます。

いままでの機器はHDDのネジ穴にネジをつけなければなりませんでしたが、このORICO RAIDはカセット方式でHDDを差し込むだけなので楽ちん!
HDDを入れたら蓋を閉めるだけ!

驚いたのが、今までのHDDをそのまま差し込んで電源をいれてつないでみたら、「STARDOM SOHORAID SR4」のHDDをRAID 5で認識したのに驚きました。4つのHDDでの運用でよいのであればHDDの移設だけでRAIDケースの移行が終わってしまいます。

おそらく、使われているハードウェアRAIDのチップが同じなのではないかと推測されます。そう考えるとハードウェアレイドは10年ほど進化していないということになりますね〜。

RAIDを設定して初期化を進めていきます。

背面のDipスイッチがハードウェアレイドであることを物語っています。

先にも書きましたが、さっきまで使用していたHDDなのでRAID 5にDipスイッチを入れてもいままでのHDDを認識してしまい、追加した1つのHDDが別ものとして扱わる現象がおこってしまいMac OSの「ディスクユーティリティ」で初期化できないトラブルに巻き込まれてしまいました。

RAIDモードを設定するのはSETボタンを押しながら電源をいれるとモードがかわる仕組みです。どうしようかと悩みましたが下記の方法でクリーンナップすることができました。

  • DipスイッチをRAID 0で設定する。
  • SETボタンを押しながら電源をON。
  • Macの「ディスクユーティリティ」で初期化。
  • DipスイッチをRAID 5に設定。
  • SETボタンを押しながら電源をON。
  • Macの「ディスクユーティリティ」で初期化。

前回の「STARDOM SOHORAID SR4」における実験でUSB接続は転送速度と省エネルギーモード(しばらくアクセスがないとスリープする)からの復帰のレスポンスの悪さ等あることがわかりました。

以前はRAID機器から直接動画データを読み込んで作業することもありましたが、現在は完全にバックアップする為の機器となっていますので、速度はあまり気にしないことにしました。HDDの銘柄も1つは違うメーカーのグレードも違うHDDを今回は使用しています(厳密にはWD HDD 3.5インチ 3TB Green WD30EZRX-1TBPが1台、残り4台はSeagate IronWolf 3.5″ 3TB ST3000VN007)。

ORICO 3.5インチ ハードディスクケース(9558RU3-BK)のベンチマーク

ORICO 3.5インチ ハードディスクケース(9558RU3-BK)

こちらは10Tの単体のHDD(WD Elements Desktop)のベンチマーク

ま、単体のHDDよりは倍ぐらい早いけれどHDD x 5台使用ですので理論上は400MB/sぐらい出ても良さそうなものですが、現実にはこんなものかなと。
バックアップ機器として考えれば必要十分な速度ではないでしょうか?

多くのデザイン業界の友人にRAIDの導入に関しての質問を受けるので、私としての私感を。

まずは価格面から考えてみたいと思います。今回の私が構成しているRAIDは3TB HDD x 5台とRAIDの本体が必要です(2020年12月4日)。

  • Seagate IronWolf 11,600円 x 5台 = 58,000円
  • ORICO 3.5インチ ハードディスクケース(9558RU3-BK)18,999円
  • 合計 76,999円

外付けの単体の12TのHDDを2台買ってバックアップをとる

  • WD Elements Desktop 12TB 27,800円 x 2
  • 合計 55,600円

バックアップ目的であればはっきり言って外付けのHDDを2台かってクローンを作る方が完全にコストも安くて安心の度合いも高いです。
RAID 1(ミラーリング)と原理は同じですが、量産品のほうが安い。

RAID>>>単体のHDDですがHDDクローン>RAIDとなり安定性はRAIDの方が劣ることになります。
ではなぜ弊社ではRAIDをつかっいるのか。それは3TBのHDDがすでに5台あるから。12TBのHDDを購入するよりもRAIDの機械を買うほうがリーズナブルだからですね(本当はあまり誰も使っていないので、使っている説もあり)。
ただ、もっと大容量の記憶媒体が必要という場合はこのORICO RAIDも16TB x 5(80TB RAID5運用で68TB運用)が可能となります。実際はこの容量を1つの媒体で保存すること自体がかなりハードルが高い気がします(いくらRAID運用とはいえ、それだけの大切なデータが飛んだら大変ですよね)。つまり、同容量のRAIDをバックアップ用にもう一台用意する財力も必要になるでしょう。
また、3TのHDDが1台故障してRAIDの修復機能でかかる時間が約4〜5時間ですから、16Tともなると修復に26時間かかることになります(その間ずっと読み書きをするので復旧作業自体が故障の原因になることもあります)。
そこまでこだわってくるとThunderbolt 3接続の16台とか8台のHDD RAIDが視野に入ってきますね〜(50万〜100万)。現実的には中小のデザイン事務所ではなかなか。

WD Elementsの市販品の最大容量が14TBなのでそれを基準にまとめてみました。

  • 14TB以上が必要であればRAIDの導入も視野に
  • 14TB以下であれば単体のHDDを2台クローニングする。
  • 14TB以上が必要でスピードを重視するのであればThunderbolt 3のRAIDを。

私自身もRAIDを1ヶ月に一度程度単体のHDDに「Carbon Copy Cloner」を使って差分のバックアップをとっています。それ以外の時には単体のHDDは電源を抜いた状態です(電源を入れることとHDDの寿命に関しては諸説あるのでなんともですが)。

ではこれからのRAIDはどうなっていくのか?

このあたりが難しい問題だと思います。現在のPC環境においてUSB 4を含めてもThunderbolt 3を超える通信速度の接続端子はありません。Thunderbolt 4の時代が来ても速度が劇的に変わるわけではありません。

  • Thunderbolt 3(40Gbps)実質転送レート 2,750MB/s
  • Thunderbolt 4(40Gbps)実質転送レート 3,000MB/s(噂)
  • USB 4(Thunderbolt 3と同等)


というのが実際の転送速度となります。現在のMVMe M.2のSSDは読み書きで3,500MB/sを超えるものも多数あります。AMDチップが採用しているPCIe 4.0規格などは6,500MB/sで動作するSSDもあるほどです。
何が言いたいかというとRAIDをわざわざ組んで速度を上げる必要が無いほどSSDの速度が上がっていることになります。単体の大容量のSSDが発売されればそれで十分な時代もくるのでしょう。
RAID自体がHDDの速度が遅い部分を穴埋めするために存在することができた側面もありますしね。
HDDの価格が今の半分なる時代が来る前にSSDの価格がHDDの価格に追いつく未来の方が早い気がします。でも、そのSSDの能力を引き出す事ができる接続ポートの規格がないという悲しい現実もあります。

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